緑の調律日誌

第200回 長野県植物研究会例会

2011/09/14

長野県植物研究会、というものがあります。

県内の植物研究者・・・、大学、県職員、博物館、民間の調査会社など、現役で植物を扱う仕事をしている人から、仕事でなくとも植物の道を究めるべく生きがいとする方々まで、様々な人が集まり、長野県の植物をあらゆる面からとりあげ、研究している会、といったところでしょうか。

長野県だけでなく、各都道府県にはこういった集まりがあります。地域の植物の情報収集を広く行っているわけです。

例会とは、会員が一同に集まっての観察会、勉強会になるわけですが、40年以上の歴史の中で今回は記念すべき200回を迎えました!

県内各地で例会を行うのですが、1泊2日の今回の例会は、白馬でした!

村内北部にある塩島城址を歩き、出会う植物全てのリストを作りながら、種の見分け方や分布の仕方など話題はつきません。

2日目のフィールドは村内中心部にある平川の上流部。

遠見尾根と八方尾根を分ける川であり、蛇紋岩地の植物がところどころにある興味深いエリア。

長野県環境保全研究所の大塚氏によるシダ講義。

シダ研究家として代表的な氏の話に皆が耳を傾けます。

大抵の植物観察会は、出会う「花」を主に扱います。

流行?のエコツアーでは、植物だけでなく、動物や地球環境などを広く扱い、親しむことが目的です。

研究会の例会は植物を純粋に深め掘り下げていきます・・・。

花は花としてでなく、分類の一手段としての特徴として捉えます(勿論、楽しむ心は忘れない)。

動物や地球環境と絡めてみても、それはその植物が、何故ここに在り、どこに在り、どのように在るのか、それを理解、推測、探求、証明するための過程です。

大半の人が見向きもしないだろう植物について語り、見つけない植物を見つけ、静かに激しく喜び興奮する、そんな会(と思っています)。

夕飯を食べながら語るのは、どこの席でも植物を中心とした話題。

夕食後にはスライドを見ながら意見を交わします(今回は白馬ということで私が担当、園内のことや植物のことなど)。

部屋で飲む酒の肴は植物標本(『ここのこの毛の生え方がこのように違うでしょう!』など)。

 

こういう凄い人、素晴らしい人に囲まれた環境にいると、自分の経験の浅さ、目指すべきもの、それを深く感じます。

やらなければならない仕事だけでなく、やるべき仕事は何か、やる「べき」ことの上限を上げつつ具現化しつつ、邁進していきたいものです。