緑の調律日誌

共通点、尾瀬の至仏山と白馬五竜

2010/09/30

夏が来れば思い出す、遥かな尾瀬、

尾瀬と言えば名前を知らない人はほとんど無く、湿原が有名な場所でもあります。

そして、湿原に隣接する百名山の2228m至仏山(しぶつさん)も知る人ぞ知る有名な高山植物の山でもあります。

至仏山の中腹からの景色です。

正面には尾瀬ヶ原と燧ケ岳(ひうちがたけ)が広がります。

ところで、この至仏山ですが、白馬五竜高山植物園の上部に整備されている歩道、地蔵の頭を中心とするアルプス平自然遊歩道と一つ、大きな共通点があります。

これは登山道の光景ですが、アルプス平自然遊歩道を訪れたことのある方、なんとなく岩の雰囲気が地蔵の頭に似ていると思いませんか?

これは超塩基性岩の「蛇紋岩」という岩石になります。

そして、この岩の特徴は『植物の生育には適さない』、というもの。そのため、高い木が生えにくくなり、蛇紋岩地域での生育が可能な植物や、高い標高でないと見られない背丈の低い高山植物がみられるようになります。

この特徴は地蔵の頭でも同じであり、ミヤマナラを中心として本来の標高には見られない植物が出現するのが共通しています。

 

ところでこの蛇紋岩、滑りやすい石としても有名です。

至仏山の登山道では蛇紋岩の上を歩く箇所が多く、水も良く染み出ていて滑りやすくもあります。

また最近では、下りでは転びやすい事、植生保護のため、尾瀬ヶ原側の斜面は上り専用にもなっています。

※アルプス平自然遊歩道では滑りやすい箇所はほとんど無いです

※上記の「正しいすべり方」は、山の鼻ビジターセンターの展示物です。滑りやすさと安全喚起を促すものです、念のため。

 

尾瀬の山に似た特徴が園内にもある、そう考えると至仏山が身近にも思えてくるようです。

高い木が無く、紅葉がきれいな低木も多くなるのも特徴的あり、これからの秋が楽しみでもあります。