緑の調律日誌

黙祷

2012/03/11

午後2時半。一回目の放送を入れる。

『時間になりましたら黙祷を行います』

微かに舞っていた雪、風が吹いて密度が濃くなってくる。

冬の間、植物栽培はひとり仕事、

社員として受け持つ部署は、受付および放送業務。

心を落ち着かせ、マイクを取った。

『黙祷』

 

昨年、被災地を訪れたことを思い出す。

訪れて初めて気がついた恥ずかしい話、

「がんばれ東北」「がんばろう東北」

日本語の一文字違い、そこに見える責任と覚悟の大きさ。

当事者でない自分が多くを語ることは出来ない。

ただ、そこにある全てが現実なのだと、きちんと知ることが出来た。

(当事者:実は東京に居て帰宅困難者になりましたが、命に危険を感じるものは無く)

 

 

『黙祷、ありがとうございました』

放送ブースから見えるゲレンデの空気が動き出したのを感じる。

吹雪出した雪は、しばらくして止んだ。